港区コミュニティバス「ちぃばす」1日乗車券で、六本木ヒルズ〜青山〜赤坂見附を途中下車の旅

港区の町中を歩いていると、よく見かける、ちょっと小さな白いバス。このバス、港区コミュニティバス「ちぃばす」といいます。「コミュニティバス」と聞くと生活に使う“市民の足”と感じるかもしれませんが、ちぃばすは観光目的で使っても便利。しかも、どこで乗り降りしても運賃は1乗車100円、1日乗車券なら乗り放題で500円とほかの交通機関よりもちょっとお得に移動ができるのです。今回は、ちぃばすに乗って、港区内をショートトリップしてみようと思います。

港区全域に張り巡らされた8つのルート

「田町ルート」「赤坂ルート」「芝ルート」「麻布東ルート」「麻布西ルート」「青山ルート」「高輪ルート」「芝浦港南ルート」という8つのルートで運行されている「ちぃばす」。公募で選ばれた青字に「BUS」の文字のロゴが目印で、港区内の小・中学生によるイラストが描かれた4種類のバスと2種類のEVバス、計6種類のバスが走っています。

◎ちぃばす路線図はこちら
https://www.fujiexpress.co.jp/chiibus/map/chi_bus_chizu_ol.pdf

全ルート合計で200以上の停留所があり、どこで乗り降りしても運賃は1乗車100円(就学児以上の乗客に同伴する未就学児は2人目まで無料)。しかも品川駅からお台場に向かう「お台場レインボーバス」と共通の1日乗車券なら、なんと500円で乗り放題ととってもお財布に優しい移動手段なのです(1日乗車券は、土日祝日と8/13~8/15、12/29~1/3の期間のみ車内で購入・利用可能)。

8つのルートのうち、3つのルートは六本木ヒルズを発着とするルートです。今回は、その中から「青山ルート」をチョイスして途中下車の旅を楽しんでみました。

区内の小学生によるイラストが描かれた、かわいいラッピングの「ちぃばす」

青山ルートは、六本木ヒルズ森タワー1階にあるバス乗り場を出発して、赤坂見附駅前の停留所まで行く約42〜43分のルートです。7時台から20時台まで20分間隔で運行されており、逆ルートを使って六本木ヒルズまで帰ってくることも可能。

ベンチのあるバス停で待っていると、路線バスよりちょっと小さなバスが入ってきました。車体の側面には、ほのぼのするイラストが描かれていてとってもかわいい。そして、お買い物帰りと思しき方々と一緒にバスに搭乗。出発するとすぐに六本木けやき坂に出て、目の前にさわやかな並木道の景色が広がります。

バスは六本木ヒルズを背後にしながら西麻布を抜けて南青山方面へ。そして「南青山六丁目」のバス停で最初の途中下車。

このバス停がある骨董通り界隈は、おしゃれなカフェや雑貨店が集まるエリアである一方で、多彩なアートスポットが点在しているエリア。

日本美術、東洋美術を中心に一年通じて多彩な企画展が行われている「根津美術館」、画家・岡本太郎のアトリエ兼住居を改装した「岡本太郎記念館」、ピカソの貴重なセラミック(陶磁器)作品のコレクションを擁する「ヨックモックミュージアム」、写真家・秋山庄太郎のアトリエを改装した「秋山庄太郎写真芸術館」という個性豊かな展示施設が近接しています。

このあたりからなら表参道まで徒歩圏内の距離です。ブランドストリートの御幸通りでウインドウショッピングを楽しみながら軽くおさんぽ。その間にも私を追い越して並木道の間を走っていく、ちぃばすの姿を見かけます。
ヨックモックミュージアム
https://yokumokumuseum.com

《「岡本太郎記念館」の詳しい情報はこちら》
【動画記事】「岡本太郎記念館」で天才芸術家・岡本太郎の情熱ほとばしるパワーをもらおう!
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/articles/427

紅葉の大人気スポットと、日本経済の礎を築いた伝説的政治家ゆかりの地

表参道でショッピングやグルメを楽しんだら、「表参道駅」のバス停から再びちぃばすに乗って青山通りの広い幹線道路を赤坂方面へ進みます。途中、左手の車窓には、ヤクルトスワローズの選手たちが描かれた大看板が立つスタジアム通りの風景が映ります。また、車内放送は英語に対応、車内モニターは英語、中国語、韓国語でも表示されるので、外国人観光客の方も安心して利用できます。

そして「青山二丁目交差点」で下車すると、そこは港区を代表する名所のひとつ、「明治神宮外苑いちょう並木」の目の前。緑のアーチになった歩道では、1日通じてランナーや犬のお散歩をする人たちを見かけます。

並木道が紅葉に染まる時期は、特に人並みが絶えないポイント。テラス付きカフェのほか、歩道の途中にベンチもあるので、旅の合間の休憩にもぴったり。また、近くには天皇家ゆかりの歴史建築であり、今では結婚式場として人気の「明治記念館」もあるので、こちらで庭園ランチというのもいいでしょう。
《「明治記念館」の詳しい情報はこちら》
【動画記事】明治神宮外苑いちょう並木の紅葉観光と一緒に訪れたい! 元赤坂「明治記念館」で庭園ランチを体験
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/articles/436

ここからまた、ちぃばすに乗って再び赤坂方面へ…というのもいいですが、その前に、ここからちょっと足を延ばしたところにある、穴場的な癒しスポットをご紹介。

「高橋是清翁記念公園」は、明治時代末期から昭和時代初期にかけて日本銀行総裁や大蔵大臣
、総理大臣を歴任し、特に経済・金融において大きな功績を残した政治家・高橋是清の邸宅跡地に造られた公園。昭和11年(1936)に起きた2.26事件の現場にもなった歴史スポットでもあります。

青山通り沿いから眺めると、遊具やベンチの設けられた一見普通の公園ですが、一歩奥に足を踏み入れると、石橋がかかる池があり、石灯籠や石碑が点在する日本庭園的な景色が広がっています。

石畳の上に広がる風景は、都心であることを忘れるフォトジェニックな雰囲気。こちらも明治神宮外苑いちょう並木同様、紅葉が綺麗なスポットで、初夏にはアジサイも見頃を迎えます。公園の一番奥には、威厳を感じさせる高橋是清の像が立っているので、穏やかな顔をした是清翁と記念写真を取りながら、この地に積もる歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

そのほか、自動車メーカーのショールームが集まるこの界隈には、ホンダの最新カーやコラボカフェのある「Honda ウエルカムプラザ青山」もあるので、併せて立ち寄ってみては。
《「Honda ウエルカムプラザ青山」の詳しい情報はこちら》
駅からほぼ濡れずに行ける、東京・港区の雨の日おすすめ観光スポット
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/articles/414

旅の最後は無数のキツネが待つ有名寺院へ

そして終点である「赤坂見附駅」の一つ前「豊川稲荷前」でバスを降りて「豊川稲荷東京別院」へ。

愛知県にある豊川稲荷の別院で、周囲とは一線を画した静かな雰囲気が漂うこちらの寺院は、いたるところにキツネの像が立ち並ぶ“キツネワールド”。境内には、商売繁盛、財宝運、因縁除けなどさまざまなご利益のある仏様がいるので、旅の最後に願い事をしてみては。

《「豊川稲荷東京別院」の詳しい情報はこちら》
https://visit-minato-city.tokyo/ja-jp/articles/473

豊川稲荷東京別院から10分ほど歩けば終点の「赤坂見附駅」。まだ遊び足りないという方は、ここで「赤坂ルート」に乗り換えて、来た道と別のルートを寄り道しながら六本木ヒルズに戻るのもいいでしょう。

ちぃばすのルートは港区全域に張り巡らされているので、1日乗車券を使いこなすほど、お得に港区観光が楽しめますよ。さらに詳しい情報は、「ちぃばす」公式ホームページをご確認ください。

「ちぃばす」公式ホームページ
https://www.fujiexpress.co.jp/chiibus/map/

関連記事

港区の夏を遊びつくす!ホテルプールで優雅なひととき

2025年7月18日

いよいよ夏も本番!港区内の各ホテルでは、都会の喧騒を忘れさせてくれるような、とっておきのプールが夏限定でオープン。日差しが降り注ぐデイタイムは、きらめく水面で涼やかにリフレッシュ。都会のパノラマビューを眺めながら家族や友人、カップル同士で非日常を満喫しちゃいましょう。日が暮れてからは、幻想的なナイトプールにうっとり。ライトアップされたプールは、昼間とはまた違うロマンチックな雰囲気を演出し、大人のための特別な空間に変貌します。今回は、そんな港区内のホテルプールをいくつかご紹介。施設の特徴や利用プランなどを参考にしながら、ホテルプールで特別な夏を過ごしてみてはいかがでしょう。 ANAインターコンチ...

人と物をつなぐ物語。「物流博物館」で“届ける”の原点を辿る

2025年6月27日

日用品から生鮮食品、資材に機械まで、ありとあらゆる貨物が、陸・海・空の輸送手段によって、毎日のように運ばれています。そんな人々の暮らしに欠かせない“物流”の過去から現代、そして未来に焦点を当てたのが「物流博物館」です。この博物館は、1958年に設立された日本通運本社内の通運史料室を前身としており、1998年8月11日に日本初の物流を専門に取り扱う博物館として、高輪4丁目に開館しました。今回は、そんな物流博物館を訪れ、貴重な資料やジオラマなどの展示を紹介します。 江戸時代に大きく発展した物流の歴史 公益財団法人利用運送振興会が運営している物流博物館は、JR・京浜急行の品川駅と都営地下鉄の高輪台駅...

高輪の「食とくらしの小さな博物館」と「食の文化ライブラリー」で広がる食の世界

2025年7月18日

食料品の値上げや「令和の米騒動」と呼ばれる米をめぐる諸問題などによって、食を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。こんな時代だからこそ、改めて“食”を見つめ直す必要があるのかもしれません。高輪3丁目にある味の素グループ高輪研修センターには、日本の食文化の歴史や変遷を伝える様々な施設が併設。味の素株式会社が運営する「食とくらしの小さな博物館」では、うま味調味料の「味の素®」や味の素グループの100年にわたる歴史を知ることができます。また、公益財団法人 味の素食の文化センターが運営する「食の文化ライブラリー」では、45,000冊以上の食に関する専門書籍の閲覧が可能です。今回は、そんな“食のワンダ...

“あ”の世界が動き出す!「デザインあ展neo」が虎ノ門ヒルズ・TOKYO NODEに登場

2025年6月13日

NHK Eテレで放送中の人気番組「デザインあneo」のコンセプトをそのままに、子どもから大人まで、あらゆる世代がデザインの面白さと奥深さを体感できる展覧会「デザインあ展neo」が、2025年4月18日(金)から9月23日(火・祝)まで、虎ノ門ヒルズの「TOKYO NODE(東京ノード)」で開催中。累計116万人を動員した前回の展示会から約4年ぶりとなる本展は、「行為(動詞)」をテーマに、35点の作品を展示。「あるく」「たべる」「すわる」「もつ」といった行為を、デザインの視点から再発見していきます。今回は、そんな開催中の「デザインあ展neo」をレポート。見どころや楽しみ方をご紹介します。 地上約...